帰りは、行きに使った経路を折り返したく無い。
この考えは、決まって帰る時にだけ現れる。
そして地図に足取りを記すなら、行きと帰りの経路が一本のひも状になるのではなく輪っかの様な形になっていれば良いな。なんて感じで。
出かける度にそんな事を閃いているのか、というとそう言う訳でもなく。
目的地が何度も行くような所で、かつ同じ道のりを何度も辿り続けると、そういう気持ちが湧き上がってくるようで、慣れない場所に行くときはその考えは影を潜めている。
同じ道を使うのが飽きたから経路を変えただけなのだと自分では考えていた。どうせ暫くしたらまた別の道で帰り初めるだろうと。
しかし或る帰り道を行きに使った道の折り返しから別の道に変更し、上で言ったひも状の経路から輪っか状の経路にしたらその日から今日までずっと輪っか状の経路を使い続けていた。
そして、ひも経路を使っていた時よりも多く輪っか経路を使っているように思える。
帰り道でさえ最短の道を使わないとならない程、時間に追われる日々。
何か明確な理由があって折り返して帰るのを避けているのでは無く、そうしない方が気持ちがいいという全く不明瞭な感覚だけで近くもない道を選ぶ日々。
どちらもすこし壊れていて、輪っかを作る道へ足を運んでいる自分が今日も怖い。