一つ目のカードショップを出て同じフロアに点在するカードショップを通りから眺め、2店目のカードショップに立ち入った。ここは中古のポケモンカードを主力商品として取り扱っており、背の高くて薄っぺらいショーケースの中にピシッとカードが並んでいた。買い付けに来たお客さんはギャルっぽい店員さんがケースから取り出してスエードの張られた平たいトレーに乗せたカードを手に取り鋭い目つきで傷や汚れが無いかカードの状態を確認していた。さながら宝石のようにカード取り扱う二人の様子に紙で作られたカードの現在の価値がよく表れている。
一方その取引の近くで俺は安斎からなんでトレーナーの絵が描いてあるカードにびっくりする値段が付いているのか尋ねて、「それはWAIFUカルチャーがあるからさ。」という何とも的確な回答を頂いていた。安斎の持っている一番高額なトレーナーカードも教えてもらったが何だったか忘れた。
通りがかった模型店にも入った。ガールズ&パンツァーで知り合った安斎は当然ミリタリーオタクでもあるので、旧日本軍の戦艦の模型を探し求め棚を漁り、暫くして戦艦が複数まとめて入っている商品を買っていた。漢字はまだ読めないみたいだけど、パッケージに何と書かれているか聞かれた俺が読み上げれば、どの戦艦なのか分かる様だ。購入した模型が完成した時には、出来上がった作品を見てみたい。
ご存じの通りブロードウェイ館内には無数の中古アニメグッズ販売店があるので目に付けば立ち入り、お互いの知っているアニメの登場人物のフィギュアを見つけては、お互いにその作品を知っているか聞く。安斎が知っている作品だと言って挙げる「アズールレーン」や「ウマ娘 プリティーダービー」などソーシャルゲームのタイトルは、俺が携帯でゲームをやらない事もあって知らないものばかりだった。俗に言われる流行の作品を安斎はしっかりと押さえていて、アズールレーンのアプリを開いて手に入れたキャラクター達を見せてくれた。国内外で流行の時差は無いみたい。
フィギュアを見た後に安斎がポケモンのグッズを見ている間、俺は商品の棚を物色して探し出した「おジャ魔女どれみ」の以前は駄菓子屋で売られていたであろう紙製のカードを一枚買った。カードに書かれたどれみちゃん達3人が笑い合っている絵が、絶妙にふにゃふにゃしていて手に取らずにはいられなかった。もし俺が買わなければ一生、陳列用のフックの奥のほうに吊り下げられたままだったであろう。
また、海外ゲームのグッズを販売している店に入った時にはfalloutの話になり、安斎の体にはvault tecという作中の企業のタトゥーが彫られている事を教えてくれた。それとfalloutシリーズを遊んだ事がない俺が安斎にシリーズの中で特に好きな作品はどれか尋ねてみると「Fallout:New Vegasが一番好きだ。」と教えてくれた。残念ながら今現在、俺の持ってるハードではこの作品を遊べないので、いつかこのゲームがリマスターされて遊べる日が来ることを祈っている。
レトロな雑貨が売られている店では、店頭に置かれたファイヤーキングのマグカップ達の中に安斎が住んでいるアメリカの州がプリントされたものを見つけたみたいで、思わず写真を撮っていた。店の奥には、スーパーカー消しゴムなど世代によって流行ったおもちゃが置いてあり、平成のコーナーには箱に入ったベイブレードのドラグーンが飾られていた。ベイブレードのアニメで初期と続編を比べると、主人公のタカオの顔が整形を施したと思えるくらいキャラクターデザインが変わる話を安斎にしようとしたら、店内の電波が悪く携帯に翻訳をしてもらえなかった為あきらめた。
後から来る事になっていた俺の友達もブロードウェイに到着したので合流した。昼食の時に安斎がミニチュアゲームのお店で働いている話も聞いたので、4階のミニチュアゲームを置く店にも入った。俺と友達にはあまり馴染みの無いおもちゃだったので、陳列されているすべてが未知。どうやって遊ぶ物なのか見当もつかないものばかり。かくしてサブカルチャーの広大さと、どの分野にもオタクがいることをまざまざと感じた。
最後にタコシェに寄って、うみべのストーブ(大白小蟹著)、つつがない生活(INA著)の漫画2冊を買って中野ブロードウェイを出た。友達は日本昭和ラブホテル大全なるものをタコシェで買っていて、後日借りて読んだら昭和ラブホテルの仕掛け人が語るインタビューが読めて、ラブホテルの室内の写真もたくさん見れる面白い本だった。
途中合流の友達が乗ってきた車に乗り込み東京の下道をドライブ。運転は車の持ち主であり前回の大洗旅行の運転もしてくれた友達に任せて、安斎と俺は後部座席に座る。
これは前回、大洗の帰りに安斎を宿泊先まで送るのに車に乗せた際、運転席に友達、助手席に俺、後ろに安斎という布陣で失敗したことに由来する。あの時も、前席のイエロージャップ2名が英語で雑談する力を持ち合わせていなかった為、安斎とはあまり会話ができなかった。なので旅の帰路は大方カーステレオから流れるアニソンが車内をぐるぐるしている少し寂しい空間だったのである。
そんな前回の経験を踏まえて今回の布陣は新しい配置になり、ついでに今回使いまくってるスマートフォンの翻訳機能も用いて車内での会話に挑んだ。俺らは戦う度に強くなるのだ。
ここから下は車内の会話。
日本に住んでいる人がサブスクリプションサービスを利用してアニメを視聴する場合、何に加入しているか聞くと大体Amazon primeやNetflix、U-NEXT、Huluが名前に挙がりアニメだけを見るためにdアニメストアなどの専門プラットフォームを契約している話は多く聞かない。じゃあアメリカに住むオタクの安斎は上のどれか契約しているのか聞いてみたら、CrunchyrollとHIDIVEという二つのアニメ専門のストリーミングサービスに契約していると言っていた。流石です。
他にも
Q.好きなアニソンはありますか?
A.TVアニメ「ゆらぎ荘の幽奈さん」 OPテーマ「桃色タイフーン」が好きです。
Q.先ほど中野ブロードウェイ内の自販機でコカ・コーラを買っていましたが好きなんですか?
A.好きです。特に日本のコカ・コーラは本国の物に比べて砂糖の量が少なく、甘さが控えめなので飲み易く気に入っています。
Q.日本に来てから知ったおいしい飲食店を教えてください。
A.明治神宮前にあるサンドイッチ店「Harry's Sandwich Company」をYou Tubeで知って食べに行ったらおいしかったです。
Q.ブロードウェイで感じてもらえたように日本ではヲタクは臭いという偏見を持たれがちで、実際にヲタク向けのお店の店内できつい体臭を放っている人が居る時もありますが、アメリカのオタクの場合はどうですか?
A.アメリカでも一緒です。臭いです。
Q.ポケモンが好きなようですが、ケモナーですか?
A.?
Q.(スマホでケモナーの英語を調べて)ファーリー?(日本的発音)
A.?
Q.(頭の引き出しを全部開けて)Are you Pokemon Zoofilia??
A.爆笑(この日一番の反応)
とか言ってた。
俺(ケモナーでない)はサファイアを遊んでいたときサーナイトがすごく好きで手持ちに2体も入れていたので、安斎もサーナイトが好きかどうか聞いたら、最初は通じなくて英語版の名前を調べて聞いたら通じたが、そこまで好きでは無さそう(手をヒラヒラするジェスチャー)だった。ちなみに何のポケモンが好きか聞いたらブリムオンが好きだと教えてくれた。俺と友達は知らない新しいポケモンだったので調べてみたところ、とてもかわいい姿をしたポケモンの画像が出てきたので。彼には素質がありそうだ。
喋っていたら安斎が泊まっているホテルに近い秋葉原に着いたので、安斎と今日はここで別れる事にした。車の降り際に安斎が「数日後に京都に行くが、帰国前にまた東京に戻ってくるのでまた遊ぼう!」と次のお誘いを受けた。
当たり前だ!!!!!(ドン!)
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